二次試験は何年かかっても合格できない方がおられる一方で、一次試験終了後の2か月半で合格できる方もおられます。
間違ったやり方では何年たっても結果が出ない試験であり、勉強の方向性や方法がとても重要です。
筆者はメーカーで生産技術、品質管理の経験が長く、試験に有利な職種ではありませんでしたが、二次試験を一発で合格する事ができました。
それなりに効率良く勉強できたからだと自負しております。
ここではおすすめの勉強法を紹介します。
参考書、過去問集、解答用ノートの準備
参考書について
二次試験はふぞろいな合格答案、ふぞろいな答案分析を中心に勉強を行います。
一次試験終了後、品薄になりますので、その前に購入しておいた方が良いです。
テキスト選びについては下記を参照ください。
ふぞろい以外の参考書については、一次試験対策でも使用した「中小企業診断士 集中特訓 財務・会計 計算問題集」だけで十分です。
過去問題集、解答用紙について
ふぞろいな合格答案や二次試験の過去問題集には当然ですが問題文が掲載されています。
しかし、二次試験は与件文(問題文のことです)の強み・弱み・経営課題にマーカーを引いたり、印をつけたり、メモを書き込んだりします。
過去問を何周もさせなければならないのは一次試験と同様ですが、マーカーを引いたり、印をつけたりするので、もう1回やる際には毎回新しい問題用紙で行う必要があります。
筆者は参考書の与件文、設問文には書き込まず、中小企業診断協会のホームページに掲載されている過去問をプリントアウトし、問題演習用として使用しました。
解答用ノートについて
二次試験は記述式であり、解答には文字数制限があります。
解答用紙を掲載しているホームページやブログもありますが、プリントアウトも面倒なので、文字数の数えやすいドット入り罫線のノートがおすすめです。
罫線にドットがあるので解答中も今自分が何文字書いているのかがわかります。
まずは時間無制限でやってみる
まずは解いてみる事が重要ですので、どの年度でも良いので一つの事例を解いてみてください。
実際は80分でやる必要がありますが、時間は気にせずに自分の知識を全て出せたという状態になるまで解いてみます。
与件には強み、弱み、経営課題、重要そうなキーワードがあちこちにありますので、それらのキーワードを活用して、解答する事を心がけましょう。
ふぞろいな合格答案の解答を見て、採点をします。
一次試験を突破してきた方であれば、30点、40点くらいは取れるのではないかと思います。
採点の後はふぞろいの解答・解説を熟読してください。
何が足りないかが見えてきます。
この後は合格ラインである60点とのギャップを埋めていく取り組みになりますが、筆者はこの段階で二次試験という掴みどころのないモヤモヤした感覚がうすれてきたのを覚えています。
解答プロセスの構築
事例を2つ程こなしたら、自分なりの解答プロセスを検討します。
二次試験対策=解答プロセスの構築、と言えます。
解答プロセスとは与えられた80分の中で、読んで、考えて、書く手順・型のようなものになります。
一度、事例を解いてみるとわかりますが80分は非常に短いです。
解答するパターンを手順化しておかないと到底間に合いません。
また解答プロセスを構築する事は抜けや漏れを防ぐことにつながり、解答の再現性を高める事ができます。
実際に同じ事例を解いたときに、3回目も4回目も全く同じような解答になっていて、さらに60点を超えていれば、解答プロセスが構築できたと言えるでしょう。
逆に60点を超えているが、やる時によって解答内容がバラバラという状態では解答プロセスが構築できているとは言い難く、試験当日に力を発揮できない可能性が高まります。
筆者の解答プロセス(例)
読む(20分)
与件の第一段落を読み、企業の概要(業種、規模など)を把握する
設問を読み、解答要素を赤枠で囲み、制約条件を赤線、重要ワードを蛍光ピンクでマークする
与件の第二段落以降を読んでいく
- 強み(S):蛍光オレンジ、弱み(W):蛍光ブルー、機会(O):蛍光オレンジ下線、脅威(T):蛍光ブルー下線、最重要ワードや経営課題:蛍光グリーン、重要ワード:蛍光ピンク、で印をつける
- 読みながら気づいた点は赤字でメモをする
- 設問に対する答えに使えそうな段落があるので、各段落の右側に設問番号をメモする
解答プロセスの【読む】はかなり重要です。詳細については下記の記事を参照ください。
考える(25分)
- 解答の構成を考え、各設問に使うワードをメモする
- 与件にある文、キーワードを活用する(特に強み)
- 必ず効果(売上向上、関係性強化、モラール向上等)を入れる
- 設問全体を通したバランス、一貫性を意識する
- 時制(過去、現在、未来)に注意する
書く(35分)
- 「~の理由を答えよ」という設問に対し、解答は「理由は~」で始める
- 箇条書きでまとめる(理由は、①・・・②・・・③・・・、のためである)
- 文字数を減らすために、箇条書きの項目(上記①、②、③)は体言止めを心がける
- 効果(売上向上、関係性強化、モラール向上等)が抜けないように意識する
事例演習の繰り返し
完璧でなくても良いので自分なり解答プロセスができたら、ひたすら事例演習を繰り返していきます。
1日1事例のペースで進めていきます。
採点を行い、解答・解説を読み、出来た点や出来なかった点を振り返ります。
「強みとして抜き出せていたのに解答に活用できていなかった」、「設問で聞かれていることとズレた解答をしていた」等、反省点を抽出します。
そうした反省点を繰り返さないために、「余白にSWOTをまとめ、解答を考える際に活用漏れが無いようにする」、「設問を分解し、スコープ(営業に関することか、会社全体に関することか)、解答内容(説明なのか、提言なのか)を意識し、赤枠で囲む」など対策を考え、解答プロセスをブラッシュアップしていきます。
財務・会計 計算問題集の繰り返し
一次試験に引き続き、「中小企業診断士 集中特訓 財務・会計 計算問題集」を使用し、計算問題演習を行います。
二次試験は事例Ⅳ(財務)だけ少し赴きが異なります。
事例Ⅰ、Ⅱ、Ⅲと同様に文章力も大切ですが、事例Ⅳでは計算力も必要です。
計算問題集で解けない箇所がないくらいまで持っていきましょう。
あとは過去問を解き、ふぞろいの解説を読む事を繰り返します。
二次試験対策開始のタイミング
二次試験は10月後半に実施されますますが、一次試験終了後から2か月半しかありません。
読み手を意識したレポート作成能力に長けた方や国語の得意な方は、勉強方法や方向性を間違わなければ、2か月半でも二次試験突破は可能です。
しかし、一次試験終了後にスタートダッシュを切って、早い段階で解答プロセスを構築する事が合格に直結します。
一次試験前で余裕のある時、できればゴールデンウィークあたりで二次試験の問題に触れ、自分なりの解答プロセス案(完璧でなくてもよい)を作成することができれば二次試験合格の可能性は高まるのではないかと思います。
まとめ
- まずは時間無制限で解いてみる
- 解答プロセスを構築する
- 事例演習を繰り返す
- 計算問題集も並行して進める
- 一次試験後にスタートダッシュを切るためにもゴールデンウィーク当たり事例を解いて、二次試験の感覚をつかんでおく