読む、考える、書くというプロセスの中で最も重要なのが「読む」というプロセスです。
診断業務でいうと社長や社員からのヒアリングがこれにあたります。
しっかり読めていないと、いくら考える力や書く力に長けていても意味がありません。
また読んだことを全部覚えておくことは不可能です。
あとで見たときに何がどこに書いているのか、すぐにわかる必要があります。
何がどこに書いているのか分類し、マーキングするスキルが必要になってきます。
ここでは解答プロセスの「読む・考える・書く」のうち、「読む」手順について説明します。
「読む」手順
与件文の1段落目を読み、企業の概要を把握する
業種、売上高、従業員数、特徴などを確認します。
まずは企業のイメージを持つことが大切です。
企業のイメージを持った状態で設問文を読んだほうが、理解が深まるからです。
設問文を読む、線・印をつける
設問文では配点、解答文字数、解答要素(施策、理由など)、問われ方(説明せよ、述べよ、助言せよ等)、制約条件(中小企業診断士として、営業的な観点から、X社の状況を考慮に入れて、等)を把握し、意識を高め、忘れないようにマーキングをしておきます。
配点、解答文字数について
解答文字数が多く、難易度が高そうな割には配点がそれほど多くない問題が存在します。
余裕があれば解答するようにしますが、他の配点が大きく、落とせない問題に注力するようにします。
解答要素について
問われたことに解答するという至ってシンプルな事ですが以外におろそかになる事があります。
理由を〇〇字以内で答えよ、課題を〇〇字以内で答えよ、留意点について〇〇字以内で説明せよ、といった問いに対して「理由は・・・」「課題は・・・」「留意点は・・・」といった形で答えるようにします。
絶対に間違えてはいけない箇所なので、設問文中の「理由」、「課題」、「留意点」にしっかりマーキングするようにします。
「戦略」について解答する場合、「誰に」、「何を」、「どのように」が解答要素になります。
制約条件について
設問文を読むうえで最も重要であると言えます。
制約を抑えていないと的外れな答えになりがちです。
中小企業診断士として〇〇について〇〇字以内で助言せよ、X社の状況を考慮に入れて、〇〇を説明せよ、等といった形で指示がありますが、「中小企業診断士として」、「X社の状況を考慮に入れて」、「営業的な観点から」等が制約条件に当たります。
営業的な事を答えないといけないのに、会社全体の事を解答するとNGです。
逆に営業面などの制約が無ければ、製造面、組織面など多面的な解答にするほうが得点につながりやすいと言えます。
筆者は制約条件については赤枠で囲って、印を入れておきます。
与件文の2段落目以降を読み、キーワードを把握する
強み、弱み、機会、脅威の把握
解答を考える際にはSWOT分析を使います。
実務面でも非常に良く使いますので、SWOT分析はマスターしておく必要があります。
特に強み、機会は解答に積極的に使います。
与件を読み終わってから、強みや機会を把握していたのでは時間が絶対足りません。
与件を読む過程で強み、弱み、機会、脅威を色や線種を分けて、マーキングし、後で一目でわかるようにしておきます。
筆者は与件を読みながら、下記のようにマーキングし、分類していました。
強み(S):蛍光オレンジ、弱み(W):蛍光ブルー、機会(O):蛍光オレンジ下線、脅威(T):蛍光ブルー下線
重要経営課題、社長の思いの把握
事例の会社にとっての最も重量な経営課題、社長の思いが与件に必ず記載されています。
全ての解答が経営課題や社長の思いとマッチしている必要があります。
筆者は重要な経営課題、社長の思いは蛍光グリーンで線を引いていました。
与件の各段落と設問の関係を把握する
設問に対する解答と関連のある段落がありますので、各段落の横に関連する設問番号をメモをしておきます。
設問によってはある段落がそのまま解答に使えるようなケースも存在します。
時間配分について
しっかり読むのは最も重要な事ですが時間はあまりかける事ができません。
筆者は上記の読んで、マーキングする作業を20分でやっていました。
読む、考える、書くのうち、書く事が結構時間を取られます。
書く作業は最低でも30分は確保したいところです。
そうすると読む作業は20分程度が妥当ではないかと思います。