中小企業診断士|TAC過去問題集と同友館過去問完全マスターどちらがおすすめ?

一次試験勉強法

資格取得のためには過去問演習は必須です。

通信講座での勉強をある程度やったら、なるべく早いタイミングで過去問に取り組むことが合格に直結します。

一次試験の過去問題集はTAC第一次試験過去問題集(TAC出版)過去問完全マスター(同友館)でどちらを選ぶか迷われる方も多いと思います。

解説に関しては甲乙つけ難いですし、どちらもよく考えられた過去問題集だと思います。

しかし、勉強期間1年間、勉強時間は1000時間で合格するという条件が付く場合、筆者はTAC第一次試験過去問題集をおすすめします。

下記に比較表を示します。

比較表を見る限りでは、どちらが優れているかわかりにくいので、詳細を説明していきます。

おすすめテキストや勉強方法については以下の記事をご参考ください。

 

 

 

 

 

 

難易度の段階とその根拠

TACの過去問題集をおすすめする理由は難易度が5段階であり、その根拠がデータに基づいたものであるからです。

資格専門学校大手のTACは毎年、一次試験の直後に採点サービスを行っており、多くの受験者が利用しています。

TACは無料でサービスを提供しつつ、問題毎の正解率のデータを獲得し、その正解率のデータを次年度の過去問題集に難易度A~Eという形で反映させています。

難易度A( 受験者数の80%以上が正解)⇒ 絶対に落とせない

難易度E(受験者数の20%以下が正解)⇒ 別にできなくても良い

中小企業診断士の一次試験は7科目あり、量が膨大ですので、一度覚えたことも他の科目のことをやり、時間が経過する中で忘れてしまいます。

そのため、過去問を短い周期で何度も繰り返し、記憶に定着させていく必要があります。

コツは間違えた問題、正解率A~Cの問題を中心に復習することです。

A~C問題を確実に覚えた上でD問題で他者と差をつけ、E問題は捨てて、100点を目指ざすのではなく、60点を目指しましょう。

100点を目指したら不合格になります。

この考え方は試験勉強に限らず、限られたリソースでいかに成果を最大化するかという中小企業経営そのものにも役に立ちます。

 

 

一方の同友館の過去問完全マスターですが、問題のランクが頻度、重要度からA~Cの3段階に分かれています。

TACの過去問題集の場合、ランクEの問題は間違えても、解説すら読む必要がありません。

同友館の過去問完全マスターの場合、3段階しかランクがなく、ランクCの問題を全て捨てる判断は難しいでしょう。

結局、Cの問題も全て復習することになり、過去問の繰り返し周期が長くなることで、記憶への定着に支障が出てきます。

またA~Cのランク付けの仕方ですが、頻度は考慮していますが、重要度がデータに基づいたものか不明です。

筆者は技術系の人間なので、好みの問題もあるかもしれませんが、データに基づいたTACの問題のランク付けの方を信用します。

難易度の段階が5段階と多く、ランク付けの根拠もデータに基づいているため、TAC第一次試験過去問題集をおすすめします。

 

収録パターン

TAC過去問集は年度別に並んでいるだけです。

同友館過去問過去問完全マスターは論点別に収録しているという特徴があります。

同じ論点の問題を繰り返し解く事で記憶の定着を図るというのが狙いです。

勉強序盤では有効な手法かと思います。

しかし、解説を読んだ直後に似たような問題を解くと正解するのは当たり前で、本来解けなかった問題まで正解になってしまうケースがあります。

正解した問題は復習が手薄になりますので、正解してわかった気になってしまわないように気を付ける必要があります。

試験のシミュレーションという意味では、同じ時間内で同じ順番で解いていくという年度別収録の方が良いと思われます。

収録方法に関しては一長一短あり、どちらが優れているというわけではなさそうです。

同友館過去問完全マスターの方が特徴的であり、こちらの方が合っているという人は一定数いると考えられます。

 

収録年数と価格

過去問は何年分やればよいの?

5年で十分です。

まず試験時間ですが、企業経営理論、運営管理、中小企業政策の3科目は1.5時間、それ以外は1時間となっており、試験時間だけでトータル8.5時間かかります。

これに採点、解説熟読の時間をプラスされ、7科目1年分をやると15~20時間程度かかると予想されます。

5年分やると80~100時間程度かかります。

先にも述べましたが過去問を1周だけでなく、2周3周と繰り返していくことで記憶の定着を図ります。

この作業を5年分ではなく、10年分やるとなると、勉強時間1000時間の目標は相当きつくなり、一年以上の長期戦を覚悟する必要が出てきます。

 

10年分も過去問をやる必要がない理由がもう一つあります。

10年経つと世の中は大きく変化します。

この記事を書いているのは2020年の5月ですが、コロナウィルスの流行により、緊急事態宣言が発令され、在宅勤務をやっている状態です。

コロナウィルス流行前はAI、IoT、BCP、事業承継、GAFA、電気自動車、自動運転などが話題になっていました。

10年前の2010年はどのような社会だったか覚えておられますでしょうか?

東日本大震災前でスマホ普及率が10%以下で、BCPの考え方やテクノロジーが今とは大きく異なります。

そのような時代の過去問をやることに意味があるのか疑問です。

特に中小企業政策、経営法務、経営情報システムは必要ありません。

よって過去問題集については直近5年分くらいで十分だと考えます。

 

価格

収録年数が少ない分、1科目の価格はTAC過去問集の方が1,650円と半分程度です。

上記で述べているように10年分やる必要はなく、7科目分になると価格のメリットも大きいのでTAC第一次試験過去問題集をおすすめします。

 

まとめ

以下の理由から過去問についてはTAC第一次試験過去問題集をおすすめします。

  • 難易度が5段階と細かく分かれており、難易度の根拠もデータに基づいている
  • 過去問完全マスターの収録パターンは勉強序盤では有効だが、落とし穴もある
  • 過去問は5年分やれば十分
  • TAC過去問集の価格は過去問完全マスターの半分程度